[ROGUE]FlashBender 製品レビュー
2014年10月18日-19:19 -カテゴリー: 撮影機材
「ROGUE FlashBender Large Soft Box Kit」製品レビューをお送り致します。
一体どれだけストロボディフューザーを試せば気が済むのか…と自分の消費行動に呆れたりもしますが、久々にイベント撮影用の新しいストロボディフューザー(正確にはリフレクター?)を試してみました。今回はROGUEのFlashBenderをテストしてみたいと思います。
このディフューザー(リフレクター)は、ここ最近フィギュアイベントの会場で見かける頻度が高くなっており、既にレビューサイトのレポートでも実戦投入されガンガン使われていますね…。なかなか良い結果が得られるようなので、管理人もどんなものか試してみたくなりました。(ディフューザーだけでなく、撮影者の技量も大きいとは思うのですが…)
ここでは製品の特徴や使用感等にも触れながらレビューしてみたいと思います。大きさや重さ、どんな人に向いているのかなど、率直にまとめてみたいと思います。
パッケージ
今回購入したのは、FlashBender Large Soft Box Kit。FlashBender単体でも売られていますが、ディフューザー等がセットになったのLサイズのキットを購入しました。
キットの内容は
FlashBender(Lサイズ)
Diffusion Panel(Lサイズ)
Silver/Black Attachment(Lサイズ)
ROGUE Flash Gels(お試し版)
になります。
主な目当ての品はFlashBender本体とDiffusion Panelだけだったので、別に単体で買っても良かったのかも知れません…。色々付いてますが、キットの方がダンゼンお得です、という価格設定ではないような気も…w。
パッケージ内容
FlashBenderとディフューザー、お試し版(?)のFlash Gel、パンフレットが2冊同梱。
透明な袋にはFlashBender本体とディフューザーが折り畳まれた状態で入っていました。Silver/Black Attachment(反射板)はFlashBenderに装着された状態でビニールに入れられています。
広げてみました。左からFlashBender(Lサイズ)本体、Silver/Black Attachment(ギラギラの反射板)、Diffusion Panel(ディフューザー)になります。広げるとパッケージの箱よりも大きくなりますねw。
■FlashBender L本体
FlashBender本体。反射面は白色で鈍い光沢感があります。光をよく拡散してくれそう。
ひっくり返してみました。ブルーのラインの箇所に柔らかい金属性の芯のようなものが入っており、ある程度形を自由に変えることが出来ます。形状に柔軟性がある点が、他社製のディフューザーには無いユニークな特徴かなと思います。
■Silver/Black Attachment(反射板)
FlashBenderに装着するアタッチメント。ギラギラしたシルバー面とナイロン地のブラック面があり、リバーシブルで使えるように両面の4辺にマジックテープが取り付けられています。
反対側の黒い面です。シルバー面は何となく分かるのですが、このブラック面の用途って…?
■Diffusion Panel(ディフューザー)
FlashBenderに装着するディフューザーで、取り付けるとストロボを挟み込んだ薄型のボックス形状になります。
ディフューザーの内側を見ると、上方に光が抜けないよう、ギラギラした面で蓋をする構造になっていますね。商品名が「Soft Box Kit」となっているのは、このディフューザーを取り付けた際のボックス形状を指しての事なのでしょう。
■ROGUE Flash Gels
ストロボ発光部に取り付けるカラーフィルターのようなもの(?)のお試し版です。FlashBenderと併用するためのものではなく、単体で使用するものだと思います。
青みがかったGelが1枚付属していました。ペラペラしたセロハンのようなものです。付属のゴムを使って、ストロボ発光部の先端に取り付けて使用します。お試しで付属していた1色以外にも様々なカラーバリエーションがあり、色被りを取ったり、色の演出に使ったりできるようなのですが…。
試したらとても気持ち悪い色になりました。(;´Д`A
※使い道はいずれ模索しますw。
ストロボへの装着例
…気を取り直してレビューを続けます。
ストロボに取り付けてみました。反射面の白い部分だけでもW240mm×H215mm程度あり、結構大きいですね。ただ、リフレクターとして使うならこれぐらいのサイズが無いと十分な拡散効果は期待できないのかも知れません。
Silver/Black Attachmentを取り付けてみました。ギラギラとした反射面で光を強く反射しそうな雰囲気ですね。
Diffusion Panelを装着すると、わずかに厚みのあるボックス形状になります。ディフューザーを取り付ける場合、形状の自由度は殆ど無くなりますので、面光源として使用する事になると思います。
■参考:ルミクエスト LQ-103[ウルトラソフト]の装着例
おなじみウルトラソフトの装着例です。FlashBenderと比較するとかなり小さく感じます。正直イベントで使用するにはこのくらいのサイズが取り回しやすく、管理人はこのディフューザーをメインで使用しているのですが、その小ささゆえ拡散効果には限界もあるのですね…。ストロボディフューザーの拡散効果というのは、発光面や反射面の大きさに比例して高くなっていくのですが、これは取り回しや可搬性とトレードオフの関係にあり、非常に悩ましいところです…w。
■LQ-103[ウルトラソフト]とのサイズ比較
FlashBender LとLQ-103[ウルトラソフト]を並べてみました。面積的には倍以上の差があると思います。
■LQ-104[ビッグバウンス]とのサイズ比較
サイズはLQ-104[ビッグバウンス]にとても近いです。というか、FlashBender Lは想像以上に大きかった…w。
重ねてみました。反射面の大きさはビッグバウンスより僅かに大きいくらい。サイズ感はほぼ同等と考えて良さそうです。
■ストロボ装着部分
ストロボへはFlashBender単体で取り付けが可能で、ストロボ側に何かを貼ったり巻いたりする必要はありません。ルミクエスト製ディフューザーを使っていると、あらかじめストロボ側にベルクロテープを貼り付けるかウルトラストラップを巻くのが当たり前だと思ってしまうのですが、そのまま装着できるのはありがたいですね。
取り付けはマジックテープの付いたゴムベルトで行います。ゴムをある程度伸ばしてからマジックテープで止めるため、取り付け部には締め付け効果が発揮さ れ、 比較的安定しているように感じました。ボタンの位置を変えることで、ゴムベルトの締め付け具合を柔軟に変えられるのも嬉しい配慮かなと思います。
FlashBender Lは重量があるため、取り付け部分が安定しているのは安心できますね。ここがグラグラしているとイベントで使うには不安があります。(ストロボの首への負担は別問題ですけど…w)
反射面をカーブさせたりして、光の方向をある程度コントロールする事が可能です。
フォッフォッフォッ!!! と包み込んでみたり…。ある程度光の拡散をコントロール可能なようですが、どれだけの効果があるかは不明w。
ストロボへの取り付け方を変えれば、こんな風に横方向からの反射も可能ですね。
(・∀・) 巻いてみました!
チラッ。
ちゃんと巻いて使えるようにフチの部分にはマジックテープが取り付けられています。※遊んでるワケではありません。
正直巻いて筒状にして使う事はまず無いかなと思うのですが、どんな感じになるのか一応試してみました。
こんな風に、スポット光源的な使い方ですかね。
思った場所に光を当てるためには、ストロボの角度を慎重に調整する必要がありそうです。TTLコードを使用して、カメラから離してセッティングする方が良いのかも知れません…。
発光テスト
FlashBender単体とアタッチメント2種を取り付けた状態でそれぞれストロボを発光させて見ました。
■ROGUE FlashBender L
反射面がそこそこ大きいため、拡散効果は高そうです。白い反射面が柔らかく光を拡散しています。
■FlashBender L+Silver Attachment
シルバーアタッチメントを装着して発光。ギラギラしているので光を強く反射しますが、「拡散」とはちょっと様子が異なります。光にムラが出来やすいかも知れません。
■ROGUE FlashBender L+Difusion Panel
発光部をディフューザーで包み込んで箱状にした状態。面が均一に光っている印象があります。ディフューザーを付けた場合が最もソフト効果が高そうなんですが、果たして結果はいかに…。
実写テスト
それでは実写テストに移りましょう。FlashBender単体でテストしても良いのですが、所有している他のディフューザーも含めて比較テストを行ってみました。差異の中から見えてくる製品の性質と言うものもあると思いますので…。
■使用機材
カメラ:PENTAX K-3
レンズ:TAMRON-SP AF 28-75mm F/2.8 XR Di LD Aspherical [IF] MACRO (Model A09)
ストロボ:PENTAX オートストロボAF540FGZ
■撮影設定
・カメラは三脚に固定
・レンズはズームレンズの50mm付近(35mm判換算75mm相当)
・被写体からレンズ先端までの距離は55cm程度、センサー面までは65cm程度
・カメラのモードはマニュアル・F8・1/80秒・ISO100に固定
・露出はストロボ側のダイヤルで発光量を手動調整
・最終的にRAWデータをLightroomに読み込み、露出パラメータを微調整して露出を微調整
撮影は全て横構図で行い、左右はトリミングして切り捨てました。
■環境光(ストロボ不使用)
ストロボを使用せず、環境光のみで撮影した参考画像。絞り値とシャッタースピードを他と揃えて同程度の露出を得るためにはISO2500まで増感する必要がありました。
■内蔵ストロボ(直射)
内蔵ポップアップストロボを直射した例です。明るくは撮れているのですが、フィギュアの背後に盛大に影が出ていますね。
■内蔵ストロボ+エツミ ポップアップストロボディフューザー E-6218
内蔵ストロボを使用し、ポップアップストロボ用のディフューザーE-6218を装着した例です。安価なディフューザーですが、直射するよりも影は柔らかくなります。応急アイテムとして持っておいても良いかも知れません。
■オートストロボAF540FGZ(直射)
クリップオンストロボの直射カットです。内蔵ストロボよりも光量があるためか、芯のある強い光が当たったような印象になりました。フィギュア背面には盛大に影が出ていますね…。この当たりの強さをどのようにして柔らかくするかが課題となります。
■オートストロボAF540FGZ+ルミクエスト LQ-107[ソフトボックス]
ルミクエストの直射型ディフューザーLQ-107ソフトボックス。実はイベントでは殆ど使っていないのですが、「ストロボ直射光よりも柔らかく、かつ被写体を明るく撮れる」と言うのが特徴かなと思います。バウンス型ディフュー ザーに比べて発光位置が低く、被写体の正面に近い位置から光を当てることになるため、お顔に前髪の影が落ちることが少ないのがメリットと言えるかも知れません。実は他のバウンス型ディフューザーに比べ、光の減衰が少ないため、バッテリーの消費が少ないという利点もあります。
■オートストロボAF540FGZ+ルミクエスト LQ-103[ウルトラソフト]
管理人の主力ディフューザー・LQ-103ウルトラソフト。 コンパクトで取り回しやすく、拡散効果もそこそこあり、バランスの良いディフューザーかなと思って使い続けています。ストロボ直立状態で使用するため発光位置が高く、上方からの光で被写体に自然な立体感を出せるのがメリットと感じています。一方でその発光位置の高さゆえ、お顔に前髪の濃い影が落ちや すく、帽子を被ったキャラの場合には絶望的な結果になったりもします…。
■オートストロボAF540FGZ+ルミクエスト LQ-104[ビッグバウンス]
ルミクエストLQ-104ビッグバウンス。 LQ-103ウルトラソフトをそのまま大きくしたようなディフューザーで、ルミクエストのディフューザーの中ではトップクラスの拡散効果を誇ります。が、サイズが大きすぎて取り回しづらいため、イベントに持って行っても使わない事が結構多いです。今回レビューするFlashBenderの好敵手となるのは、サイズ的にビッグバウンスなのかなと思います。
■オートストロボAF540FGZ+ROGUE FlashBender L
いよいよ本題。今回のテストの目玉となるFlashBenderをアタッチメントなしで使用した例です。想像していた通り、LQ-104[ビッグバウンス]に限りなく近い結果となりました。被写体の背後に落ちる影の濃さや柔らかさ等がとても良く似ていますね。しかし傾向がここまで似ているとは…w。
■オートストロボAF540FGZ+ROGUE FlashBender L+Silver Attachment
ギラギラの反射板Silver Attachmentを装着してみました。アタッチメント無しの状態に比べ、光が少し硬くなったように感じますね。お顔に落ちる前髪の影も濃くなっているのが分かると思います。Silver Attachmentはソフト効果を狙うものではなく、むしろその逆の効果を持っているようにも感じられます。光を強く反射させたい場合には有効でしょうか…。
■オートストロボAF540FGZ+ROGUE FlashBender L+Difusion Panel
FlashBenderにDifusion Panelを装着してみました。ディフューザー未装着の状態と比較すると、僅かですが影が柔らかくなっているように感じます。(前髪の影や、被写体背後の影の輪郭に注目) 今回テストしたディフューザーの中では、FlashBender+Difusion Panelの組み合わせが最もソフトな結果が得られました。ただ、Difusion Panelの有りと無しでは、もっと結果に大きな差が出るかと思っていたのですが、期待していた程の差はなかったかな…と言うのが正直な感想です。(Difusion Panel無しでも、十分に高い効果を発揮している、とも言えますがw)
■部分拡大一覧
ルミクエストのディフューザー3製品と、FlashBenderのオプション違いを部分拡大で一覧にしてみました。
被写体に落ちる影の硬さや、バックの影の濃さなどを総合的に見て、FlashBender Lのテスト結果は、やはりLQ-104[ビッグバウンス]に最も近いと言えると思います。FlashBender Lの広い反射面はDifusion Panelを付けなくても十分に高い拡散効果を発揮しており、LQ-103[ウルトラソフト]よりも更にソフトな仕上がりが得られるようですね。
このテスト結果は、「ディフューザーの性能(光の拡散効果)は発光面・反射面の大きさに比例して高くなる」という事の実証にもなっていると思います。つまり、デカイほど効果が高いとw。※これ以上大きなサイズは試した事がないため、ある一定のサイズで効果が頭打ちになる可能性もありますが…。
LQ-104[ビッグバウンス]とFlashBender Lはそれぞれ形や構造・材質が微妙に異なりますが、反射面のサイズはほぼ同じです。また、両者ともバウンス光を拡散するタイプのディフューザーで、発光位置もほぼ同じであるため、被写体に落ちる影の性質がよく似ていますね。
今回テストした中では、LQ-107[ソフトボックス]のみが直射型ディフューザーにあたるのですが、バウンス型よりも低い位置で発光しているため、脚や背後に落ちる影の位置が他と異なっています。フィギュア全体を明るく撮りたいのであれば、直射型ディフューザーの方が光が良くまわって良いのかも知れません。ただ、直射型は発光を強めると立体感が失われがちなのが難点で、この辺は好みが分かれる所だと思います。
今回テストしたストロボディフューザーは、フィギュアイベントの撮影で実際に使用される事が多いものばかりで、どの製品を使っても一定の効果は期待できるのではないかなと感じます。というか、ブラインドテストをしたら自分でも言い当てられる自信が無いほど微妙な差しかなく、これじゃ記事にならないじゃないか…!と。^^;;
ROGUE FlashBender 手持ち撮影サンプル
イベントでの使用を想定して、カメラ手持ち状態でFlashBenderを使用してみました。ISO感度を少し上げ、全体的にストロボの発光量を弱めて撮影しています。オプション違いも含めて、3種類をテストしてみました。三脚を使用しない実践テストと考えて下さい。
■FlashBender L
FlashBender Lは、Difusion Panelなしの状態で使用しても十分なソフト効果が得られるようです。
■FlashBender L+Silver Attachment
全体的にコントラストが高く、強い光が当たっている感じがあります。「柔らかく撮る」と言うのとはちょっと性質が異なりますが、鋭い光で被写体を照らしたい時には有効かも知れません。影は少し濃く出るものの、メリハリのある光で撮れますね。
■FlashBender L+Difusion Panel
Difusion Panelを使用すると、無しの状態よりも更にソフトに撮ることが可能ですね。ただし、その「違い」は僅かなものなので、Difusion Panelを使うかどうかはケースバイケースになるでしょうか…。
■ストロボへの取り付け方のコツ
さて、ここでFlashBenderの取り付け方に関するTipsをひとつ…。
ストロボに取り付ける際、首を90度ひねった上でFlashBenderを取り付けます。※左右の首振りができないストロボでは、この方法は使えません。ご了承ください。
こんなんなりました。少し厚みがありますがキニシナイ…!!
ストロボの首をひねった上で取り付けると、こんな風に横に90度倒す事が可能になります。
ナゼこんな事をするのかと言いますと…。
FlashBenderに限った事ではないのですが、高所で発光するバウンス型ディフューザーは、お顔に前髪の影を落とす事が多く、影が目にかかってしまうと、見た目的にもあまりよろしくなかったりするんですよね…。上の写真はFlashBenderを直立状態で使用した例ですが、やはり前髪の影が少し気になります…。
そんな時は、ストロボの首を横に90度倒し、発光位置を若干低くして影の出方をコントロールします。
右斜め上方向からの光なので、影の出方が若干不自然になりますが、お顔にかかる影はあまり気にならなくなりました。発光位置を少し変えるだけで、影の出方もずいぶん変わるものなのですね。取り付け方をひと工夫しておくと、柔軟性のある使い方が出来るようになると思います。これは、LQ-103[ウルトラソフト]など、他のバウンス型ディフューザーを使う場合も同様です。また、この取り付け方法は、ストロボブラケットを使用せずにカメラ縦構図へ対応させるちょっと裏技的なテクニックでもありますw。こちらの記事でも過去に色々やっていましたね…。(遠い目
発光位置による陰影の違いを詳しく見てみる
ストロボ発光位置の違いが、被写体の陰影にどのような影響を与えているのか、もう少し詳しく見てみましょう。FlashBenderを取り付けたストロボをTTLコードでカメラと接続し、ストロボを手で持ちながら位置を自由に変えてテストしてみました。同じディフューザーを使用して、発光位置のみ変えてどのような変化があるのかをテストしています。
※おおよその発光位置を右下にピクトで示しています。
A:レンズ上方30cm程度で発光
クリップオンストロボにFlashBenderを取り付けた場合の通常の発光位置です。ウルトラソフト等のバウンス型ディフューザーもこのくらいの発光位置になると思います。このセッティングでカメラを構えた場合、頭の少し上付近で発光する感じでしょうか。
被写体に上方向から光が当たるため、自然な立体感を出すのに向いている一方、被写体に濃い影を落とす場合もあります。
B:レンズのすぐ上付近で発光
Aよりもやや下に発光位置を下げた例です。内蔵ポップアップストロボや、クリップオンストロボにLQ-107ソフトボックス等の直射型ディフューザーを装着した場合の発光位置に近いかなと思います。レンズのすぐ上付近で発光する感じでしょうか。
被写体には正面からの光が良くまわり、全体を均一に明るく撮れます。その一方で、被写体の立体感がやや失われる印象もあります。お顔に前髪の影が落ちる事が少ないのがメリットです。
C:レンズの左斜め上で発光
左斜め上付近で発光させた例です。被写体の右後ろ方向に影が出ています。カメラをこんな感じのセッティングで縦構図撮影した場合の上がりに割と近いです。斜め左上から光が当たっているため立体感は良く出ますが、影の出方がやや不自然に見える事もあります。
D:レンズ左真横で発光
レンズの左真横で発光させた例です。ストロボブラケットを使用して、レンズの真横にストロボ発光部をセットした場合の発光位置に近いかなと思います。フィギュアイベントではあまり見かけませんが、ポートレートではこのようなセッティングで撮影する事もあるようですね。(フィギュア撮影とポートレート撮影では、被写体との距離が大きく異なりますので、あまり参考にはならないかも知れませんが…。)
E:レンズ右真横で発光
レンズの右真横で発光させた例です。Dの左右逆版ですね。
F:レンズ右上で発光
レンズ右斜め上付近で発光。Cの左右逆版です。
G:レンズ下付近で発光
レンズの下で発光させた例です。フツーはこんな撮り方はしないと思いますが一応試してみました。完全にオバケライトですw。
同じディフューザーでも、発光位置を変えるだけでガラッと仕上がりの雰囲気が変わりますね…。
特にAとBの結果は、バウンス型ディフューザーと直射型ディフューザーの標準的な発光位置に近いため、それぞれの仕上がりの違いを良く表しているのではないかと思います。どちらもアリだと思うのですが、それぞれに一長一短あって、どちらがベストとは一概に言えませんね…。状況によってカンタンに切り替えられたら最高なんですが、発光位置を柔軟に切り替えられるストロボなんてなかなか無いんですよね…w。
FlashBender応用編
せっかく「製品レビュー」と銘打って記事を書いているのだから、その使い方についても色々と提案してみたい…。正直、値段分の元を取るぐらいキッチリ使い倒してやんよ、という熱い思いを込めて、イベント撮影以外でどのような使い方が出来るのかを模索してみました。室内でのブツ撮りにも有効に使えたら嬉しいな、と。
Difusion Panelを装着したFlashBenderは、ほぼ均一に光る面光源となります。
発光面の大きさは22cm×20cm前後なので、四角い小さな面光源ですね。これを有効に使う方法はないだろうか…。
例えば、被写体の背後から光を当てる透過光の演出に使えるのでは…?と考えました。
被写体の背後にFlashBender(Difusion Panel装着)を取り付けたストロボを置き、その手前に乳半のアクリル板をセットします。
発光させるとこんな感じになりました。FlashBenderの面光源をアクリル板で更にディフューズしているため、柔らかく光が広がっています。
実は、ストロボを使用して均一な面光源を作るのは結構難しく、FlashBenderを使用せずにアクリル板の背後でストロボを直射した場合、光にムラが生じて均一な面光源にならないのです。アクリル板とストロボを離せば解消するのかも知れませんが、撮影台にある程度の奥行きが必要になります。そもそも奥行きが取れない管理人の環境では、バックからの透過光演出は難しいな…と半ば諦めておりました。FlashBenderを使用すると、ストロボを使用したコンパクトな面光源を手軽に作れるため、撮影の幅がグンと広がる気がします…! 光源の設置に必要な奥行きが、横向きにしたストロボ一台分程度で済むというのは美点ですね!
■透過光の作例
こんな風に手軽に透過光を使用した白バック撮影が出来ますね。
内蔵ストロボと2灯構成のため、正面からも光が当たっています。
内蔵ストロボの光を遮って、バックからの光とレフ板のみで撮影。
とにかく場所を取らず、セッティングが楽なので、室内撮りで使用する機会も増えそうです。使い方の幅が広いのはありがたいですね。
まとめ
色々書いてきましたが、「ROGUE FlashBender Large Soft Box Kit」のレビューのまとめです。ポイントをピックアップしてまとめてみます。
■製品の比較テスト結果
●LQ-104[ビッグバウンス]とほぼ同等の拡散効果が得られた
主要な製品と比較した場合でも、拡散効果は非常に高いと言える
●Difusion Panelを装着すると更にソフトな仕上がりになる
ただし、無しの場合との差は僅か
●Silver Attachmentを装着すると、硬い光の当たりになる
拡散効果はむしろ下がる?
■良い点
●形状を自由に変えられるため、柔軟性がある
反射方向や反射面積を調整可能。巻いて使用する事でスポット光の演出も可能
●広い反射面によって高い拡散効果が得られる
LQ-103[ウルトラソフト]よりも拡散効果は高い
●オプションで拡張可能
Difusion PanelやSilver Attachmentなどのオプションで効果を微調整できる
●取り付けが簡単で比較的安定している。
ストロボ側にテープを貼るなどの事前準備が不要なのは美点
●バッグに収納する際は折り畳める
畳むとLQ-104よりもコンパクトになり、筒状に丸めて収納する事も可能!
■悪い点
●サイズが大きく重量がある
アタッチメント無しの状態でビッグバウンスよりも若干重い
ストロボの首部分に負担がかかるため、手で支えながら使用しないとちょっと不安…。首のクリック感が弱いストロボの場合、自重でガクッと倒れてしまうので要注意!
●発光位置が高いため、被写体に前髪の影が落ちる事がある
発光位置の高いバウンス型ディフューザーに共通する明確な欠点。取り付け方の工夫で対処を。
●直射型ディフューザーと比較した場合、光の減衰が大きい
FlashBender以外のバウンス型ディフューザーに共通の問題。ある程度ガイドナンバーの大きなストロボが必要かもしれない。
■どういう人に向くか
●サイズが大きくなっても、より高い拡散効果を求める人
LQ-103[ウルトラソフト]よりも拡散効果は高い。ただしとても大きい。
●現在バウンス型ディフューザーを使っている、もしくは新たに購入を検討している人
光の当たりや影の出方はバウンス型ディフューザーに共通の特性を示しているため、直射型の仕上がりを好む方にはお勧めできない。例えばLQ-104[ビッグバウンス]の購入を考えているのであれば、FlashBender Lを候補に加えて検討してみるのが良いだろう。(個人的にはLQ-104よりもFlashBenderの方がお勧めかなと思う。)
●イベント撮影だけでなく、様々な撮影用途で使ってみたい人
カスタマイズの幅が広いので、部屋撮りでも活用の道はある。これはルミクエスト製品にはない特長だと思う。
とまあこんな感じで、結構こってりとレビューして見ました。(;´Д`A 正直疲れたー。
ROGUE FlashBenderは、その独自の構造やオプションの豊富さで、非常に柔軟性のあるストロボディフューザー(リフレクター)かなと感じました。今回テストしたのはLサイズのキットになりますが、他のサイズだとどのような結果になるのか少し気になりますね…。例えばFlashBenderのMサイズはLQ-103[ウルトラソフト]に近い大きさなので、似た傾向を示すのではないか…と勝手に推測しておりますw。
ルミクエスト製品が純粋なストロボディフューザーであるのに対し、ROGUEの製品は「光をいかにコントロールするか」に主眼を置いて開発されているようで、これがとても新鮮でした。使い方の自由度が高く、様々な用途で使える製品かなと思います。
気になる方は、とりあえずFlashBender単体で使ってみて、必要に応じてDifusion Panelを追加購入するのでも全く問題ないかなと思います。Diffusion Panelは、付ければ付けたなりの効果は確かにあるのですが、その差はテスト結果を見比べてやっと分かる程度のものですので…w。あとSilver/Black Attachmentは無くても別に問題ないかなと感じました。(まだ活用法が見出せていないところがありますが、イベントで使う事はまずないでしょう…。)
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