フィギュア撮影について真面目に考えてみた─絞りと被写界深度についての考察
2012年03月10日-18:26 -カテゴリー: 撮影機材
フィギュア撮影をする際、被写体のどの部分までピントを合わせるべきか、またその際の絞り値の選択に悩むことがあります。
管理人は製品紹介という性格上、できるだけフィギュア全体にピントが合うよう絞り込んで撮影しているのですが、顔だけにピントを合わせ、ほかの部分は「ふわり」とぼかしたイメージカットなども撮影したい時があります。被写体のピントが合う範囲(=被写界深度)は、絞り値を変えることで変更可能なわけですが、「どの程度絞るとどこまでピントが合うのか」は、実際に撮影してみないと分かりません。
そこで、フィギュア撮影に最適な絞り値と被写界深度の関係を探るべく、簡単な実験を行ってみました。
- 使用カメラ:PENTAX K-7(APS-C)
- 使用レンズ:TAMRON SP AF90mm F/2.8 Model 272E
三脚にカメラを固定し、絞り値のみを変えながら撮影しました。ピントは左目のあたりに合わせています。絞り値を変えることで、被写界深度がどのように変化するか実験してみました。(撮影サイズのピクセル等倍で確認できるよう顔の一部をクロップしています。)
■クロップ範囲(画像はf/2.8のもの)
f/2.8絞り開放~f/4では左目とその周辺部分にしかピントがきていません。
f/5.6~f/8あたりでもまだ顔の奥の輪郭がぼやけていて、顔全体にピントが合ったと認められるのはf/11からです。
f/13以降は被写界深度に顕著な差は見られませんが、左手のバックに見える細い髪の毛のピントの具合が若干異なっているような気がします。
顔周辺の描写がしっかりしているのはf/11~f/16付近で、f/22以降は全体的にモヤっとした像になっています。(回折現象の影響ですね)
f/32(最大)まで絞ると回折の影響がモロに出て、ボケボケの画像に…。もっとも、こんな絞り値は日常的に使用することはありませんが…。
■まとめ
風景撮影などではf/8前後の絞り値を多用する事が多いのですが、フィギュア撮りではもう少し絞り込んでいく必要がありそうですね。管理人はf/11~16あたりの絞り値を中心に使い、ボケ味を活かしたイメージカットを撮る際はf/4~8付近を使用するのが良いのではないか、と思いました。絞込みすぎると回折現象で像が甘くなってしまいますし、逆に絞り開放だと被写界深度が浅すぎてピント範囲が非常にシビアになってしまいますので。
■補足
絞りと被写界深度の関係は、使用するレンズの焦点距離・カメラのセンサーサイズ・被写体との距離などの条件によって様々に変化します。上記の実験は、APS-Cセンサー搭載機で行っていますので、フルサイズセンサー搭載機の場合とは結果が異なる可能性がありますのでご了承ください。
絞りと被写界深度についての考察でした。
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